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「インフレ」ってなあに? 年金生活で知っておきたいお金の価値の基本

Tags: インフレ, 物価高, 年金生活, お金の価値, 基礎知識, 家計

最近気になる「インフレ」という言葉

最近、テレビや新聞などで「インフレ」という言葉をよく耳にされるかもしれません。物価が上がり、日々の暮らしで「以前よりお金がかかるな」と感じる機会も増えているのではないでしょうか。

特に年金生活を送る方にとっては、収入が大きく変わらない中で物価が上がり続けることは、漠然とした不安につながることもあるかと思います。この「インフレ」とは一体どういうことなのか、そして年金生活にどう関係してくるのか、基本的な考え方をご説明したいと思います。

「インフレ」とは、モノの値段が上がり続けること

「インフレ」とは、「インフレーション」の略で、モノやサービスの値段(物価)が全体的に継続して上がっていく状態のことを指します経済の言葉です。

例えば、これまで1個100円で買えていたパンが、翌年には110円、その翌年には120円になる、ということが、パンだけでなく様々なモノやサービスで起こるのがインフレです。

では、なぜモノの値段が上がるのでしょうか。様々な原因がありますが、大きく分けて次のような理由が考えられます。

これらの理由が絡み合い、物価は変動します。

モノの値段が上がるということは、「お金の価値」が下がるということ

インフレの状態では、同じ100円を持っていても、以前よりも買えるモノやサービスの量が少なくなってしまいます。

例えば、100円でパンが1個買えていたのに、値段が110円に上がってしまうと、100円ではパンが買えなくなります。これは、モノの値段が上がったのと同じだけ、お金の価値が相対的に下がった、と考えることもできます。

貯金として銀行に100万円を預けていたとします。インフレが起き、物価が1年で2%上がったとすると、1年後には100万円で買えるモノの量は、実質的には2%減ってしまったのと同じような状態になります(※)。

(※)銀行預金には利息がつきますが、現在の低い金利では物価の上昇率ほどではないことが多いです。

年金生活とインフレの関係

なぜインフレは年金生活者にとって特に気になるのでしょうか。それは、年金収入が一度決まると、基本的には大幅に増えることが少ないためです。

物価が上がっても収入が増えない場合、これまでと同じ生活をするにも、より多くのお金が必要になります。趣味や旅行、急な出費への備えなど、日々の暮らしに使うお金が実質的に減ってしまう感覚になるかもしれません。また、貯金で備えている場合も、先ほどご説明したように、お金の価値が目減りする可能性があります。

国の年金制度には、物価や現役世代の賃金の変動に合わせて年金額を調整する仕組み(マクロ経済スライドなど)がありますが、物価の上昇に年金額の伸びが追いつかない時期がある可能性もゼロではありません。

インフレにどう向き合うか?

インフレを完全に避けることは難しいですが、必要以上に心配しすぎないことも大切です。まずは、インフレがどういうものかを知り、自分のお金とどう向き合うかを考えるきっかけにすることが第一歩です。

まとめ

「インフレ」とは、物価が継続的に上がり、結果としてお金の価値が下がる状態です。年金生活においては、収入が固定されがちな中で物価が上がるため、暮らしへの影響が気になるのは当然のことです。

しかし、インフレを正しく理解することで、漠然とした不安を具体的に捉え、自分にとって何が大切か、どのように備えていくかを考える一歩とすることができます。

大切なのは、全てを一度に解決しようとするのではなく、ご自身のペースで、まずは「知る」ことから始めてみることです。そして、お金に関する様々な情報に触れながら、ご自身にとって安心できるお金との付き合い方を見つけていくことです。