ATMや振込、キャッシュレス 年金生活のお金の受け渡しを安心・安全に
年金生活におけるお金のやり取りの変化と向き合う
年金生活に入り、日々の暮らしの中で「お金の受け渡し」を行う場面は数多くあります。年金の受け取り、公共料金や買い物の支払い、ご家族やご友人への送金、あるいは受け取りなどです。
近年、社会全体でキャッシュレス化やデジタル化が進み、お金のやり取りの方法も多様化しています。現金だけでなく、ATMの操作、銀行振込、そしてスマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済など、さまざまな手段が登場しています。
こうした変化に対し、「難しそうでよく分からない」「安全なのか心配だ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、年金生活で日常的にお金をやり取りする際に知っておきたい、それぞれの方法の基本的な使い方や、安心・安全に利用するための注意点について分かりやすくご説明します。
主なお金のやり取り方法
現在、私たちが日常的にお金をやり取りする主な方法には、以下のようなものがあります。
- 現金
- ATMの利用
- 銀行振込(窓口、ATM、インターネットバンキング)
- キャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード決済など)
それぞれについて、注意すべき点を見ていきましょう。
ATMを安全に利用するために
ご自身の銀行口座から現金を引き出したり、振り込みをしたりする際にATMを利用される方は多いでしょう。ATMは便利ですが、利用時にはいくつかの注意が必要です。
- 周囲に注意を払う: ATMの操作中に、後ろからのぞき込まれたり、話しかけられたりしないよう、周囲に気を配りましょう。不審な人物がいないか確認し、不安を感じたら利用を中止することも大切です。
- 暗証番号の管理: 暗証番号は他人に知られないようにしてください。入力する際は手で隠すなどの工夫をしましょう。銀行員や警察官、家族であっても、暗証番号を聞かれても絶対に教えないでください。また、電話で暗証番号を聞き出すような行為は詐欺ですので注意が必要です。
- スキミング対策: ATMに不審な装置が取り付けられていないか、軽く確認する習慣をつけましょう。これはカード情報などを不正に読み取る「スキミング」を防ぐためです。
- 利用明細の確認: ATMの利用明細は必ず受け取り、金額に間違いがないか確認しましょう。
- 手数料に注意: 利用する時間帯や銀行によっては、ATM手数料がかかる場合があります。事前に確認しておくと良いでしょう。
銀行振込を安心に行うために
公共料金の支払い、家賃の送金、ご家族への仕送りなどで銀行振込を利用することがあるかと思います。
- 振込先の確認: 最も重要なのは、振込先の口座情報(銀行名、支店名、口座種類、口座番号、受取人名義)を正確に確認することです。少しでも不明な点があれば、振込を一旦保留し、正規の連絡先(請求書に記載された電話番号など)に確認してください。メールやSMSで送られてきた振込先情報は、詐欺の可能性を疑い、必ず別の方法で正規の情報を確認しましょう。
- 振込詐欺に注意: 「医療費の還付金がある」「未払いの料金がある」などと電話やメールで連絡があり、ATMで指示通りに操作させようとするのは全て詐欺です。自治体や税務署、銀行などが、ATMの操作や現金の振込を指示することはありません。このような連絡があったら、すぐに電話を切り、最寄りの警察署や消費生活センター、家族などに相談してください。
- 手数料: 振込手数料は、利用する銀行や振込方法(窓口、ATM、インターネットバンキング)によって異なります。
キャッシュレス決済を安全に利用するために
最近では、お店での買い物だけでなく、インターネットでの支払いなど、さまざまな場面でキャッシュレス決済が利用できるようになりました。クレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォンのQRコード決済など種類がありますが、基本的な注意点は共通しています。
- 利用限度額の設定: クレジットカードなど、使いすぎが心配な場合は利用限度額を設定できるか確認してみましょう。デビットカードや電子マネーは、口座残高やチャージ残高の範囲内で使えるため、使いすぎを防ぎやすいかもしれません。
- パスワードや暗証番号の管理: オンラインサービス利用時のパスワードや、カードの暗証番号は厳重に管理し、使い回しは避けましょう。
- 不審なサイトやアプリに注意: インターネットで買い物をする際は、信頼できるサイトか確認しましょう。怪しい広告やメールからのリンクは安易にクリックしないようにしてください。
- 利用履歴の確認: 定期的に利用明細や履歴を確認し、身に覚えのない請求がないかチェックしましょう。もし不正利用の疑いがあれば、すぐにカード会社などに連絡してください。
- スマートフォンのセキュリティ: QRコード決済などを利用する場合は、スマートフォンのセキュリティ対策(ロック設定、OSのアップデートなど)をしっかり行いましょう。
お金のやり取り全体に共通する安心のためのヒント
どの方法でお金のやり取りをする場合でも、以下の点に留意することで、より安心して利用できます。
- 個人情報の管理: 氏名、住所、電話番号、生年月日、そして金融機関の情報など、大切な個人情報は安易に他人に伝えないようにしましょう。
- 不審な連絡への対応: 電話、メール、SMSなどで「お金に関すること」を急に要求されたり、個人情報を聞き出そうとされたりした場合は、一旦冷静になり、相手の身元を慎重に確認してください。正規の機関や企業からこのような連絡が来ることは稀です。不安な場合は、すぐに家族や信頼できる人に相談しましょう。
- 定期的な残高確認: ご自身の預貯金口座の残高を定期的に確認し、不審な入出金がないかチェックしましょう。インターネットバンキングを利用すると、自宅で手軽に確認できますが、操作に不安がある場合は、銀行の窓口やATMで確認することも可能です。
- 困った時の相談先: お金に関することで不安なことや分からないことがあれば、一人で抱え込まずに相談できる場所を知っておきましょう。銀行の窓口、消費生活センター、警察などが相談先として考えられます。
まとめ:安心してお金のやり取りをするために
年金生活におけるお金のやり取りは、日々の暮らしを支える大切な行動です。現金、ATM、振込、キャッシュレスなど、様々な方法がありますが、それぞれの特徴を知り、基本的な注意点を守ることで、多くの心配事を減らすことができます。
特に、詐欺の手口は巧妙化しています。「自分は大丈夫」と思わず、常に注意を払うことが大切です。少しでも不安を感じたら、一人で判断せず、信頼できる人や専門機関に相談してください。
この記事が、年金生活におけるお金の受け渡しを、安心で安全に行うための一助となれば幸いです。ご自身のペースで、無理なく新しい方法にも挑戦してみるのも良いかもしれません。