年金生活、気づけば財布が… 「つい使うお金」と賢く向き合うヒント
はじめに:なぜかお金が貯まらない?「つい使うお金」との付き合い方
年金暮らしになり、収入に合わせて家計をやりくりしようと心がけている方も多いことでしょう。毎月の生活費や大きな出費に備えて計画を立てていても、「なぜか月末になると少し足りない」「気づけば予想以上にお金を使っている」と感じることはありませんか?
これは、大きな買い物をしたわけではないのに、日々の「つい使ってしまうお金」が積み重なっていることが原因かもしれません。コンビニでの小さな買い物、魅力的な広告につられて買ったもの、友人との急な誘い。一つひとつはわずかな金額でも、積み重なると家計に大きな影響を与えます。
この記事では、年金生活で「つい使ってしまうお金」とはどのようなものか、なぜつい使ってしまうのか、そしてどのようにすれば無理なくその出費と向き合えるのかについて、具体的なヒントをご紹介します。ご自身のお金の使い道を振り返り、より安心できる年金生活を送るためのきっかけになれば幸いです。
「つい使ってしまうお金」の正体とは
「つい使ってしまうお金」には、様々な形があります。計画にはなかったけれど、その場の気分や状況でふと手が出してしまう出費のことです。
例えば、以下のようなものに心当たりはありませんか?
- レジ横にあった美味しそうなスイーツや飲み物
- 期間限定や割引につられて、必要ではないのに買ってしまったもの
- ちょっとした空き時間に立ち寄ったお店での衝動買い
- 家族や友人との集まりで、つい多めに支払ってしまった分
- なんとなく見ていたテレビショッピングやネット広告で購入したもの
- 疲れている時や寂しい時に、気分転換のために買ってしまったもの
これらの出費は、一つひとつを見ると少額かもしれません。しかし、毎日あるいは毎週のように繰り返されると、チリも積もれば山となり、気づかないうちに家計を圧迫することになります。
なぜ、つい使ってしまうのでしょうか?
年金生活で収入が限られていることを理解していても、なぜ人は「つい」お金を使ってしまうのでしょうか。そこには、様々な心理的な理由が隠れていることがあります。
- ストレスや気晴らし: 日々の生活での小さなストレスや寂しさを、買い物をすることで紛らわそうとしてしまう場合があります。物を手に入れたり、美味しいものを食べたりすることで、一時的に気分が晴れるためです。
- 習慣や惰性: 毎日同じ時間にコンビニに立ち寄る、特売品があると必ず買ってしまうなど、特に深い理由なく習慣で出費していることがあります。
- 限定やお得感への弱さ: 「今だけ」「ここでしか手に入らない」「〇〇%オフ」といった言葉に弱く、必要性をよく考えずに購入してしまうことがあります。
- 人付き合い: 友人や知人からの誘いを断れず、外食やイベントへの参加が続いてしまうことがあります。
- 判断力の低下: 疲れていたり、急いでいたりする時に、冷静な判断ができずにお金を使ってしまうことがあります。
これらの心理は誰にでもある自然なものですが、年金生活においては、意識的に向き合うことが大切です。
「つい使うお金」と賢く向き合うためのヒント
では、「つい使うお金」を減らすために、どのようなことができるでしょうか。難しく考える必要はありません。ご自身に合いそうなことから、少しずつ試してみてください。
1. まずは「見える化」する
何に「つい」使っているのかを知ることが第一歩です。
- 簡単な記録をつける: 毎日、あるいは週に一度、使ったお金をざっと書き出してみましょう。完璧な家計簿でなくても構いません。ノートの片隅にメモしたり、スマートフォンのメモ機能を使ったりするだけでも十分です。「その他」「なんとなく」といった費目を設けておくと、「つい使ってしまったお金」がどれくらいあるかが見えてきます。
- レシートを活用する: レシートを一時的にまとめておき、後で見返してみましょう。何を買ったのかを振り返ることで、無駄な出費の傾向が見えてきます。
2. 買う前に一呼吸置く習慣をつける
物を手に取ったり、購入ボタンを押そうとしたりする前に、少し立ち止まって考えてみましょう。
- 「本当に必要だろうか?」と自問する: 今すぐ必要なのか、家に同じようなものはないか、なくても困らないのではないか、と考えてみます。
- 「明日も欲しいか?」と考えてみる: 一晩寝かせることで、衝動的な気持ちが落ち着き、本当に必要か冷静に判断できるようになります。
3. 環境を整える工夫をする
「つい使ってしまう」状況そのものを減らす工夫も有効です。
- 必要のないお店に立ち寄らない: 通勤や散歩のルートを変えるなどして、コンビニやお店の前を通らないようにするだけで、誘惑を減らせます。
- ネットショッピングの誘惑を減らす: 魅力的な商品の広告メールが届きやすいなら、購読を解除するなど、見る機会を減らしてみましょう。
- 現金の持ち歩きを必要最低限にする: 財布に入っているだけ使ってしまう傾向があるなら、その日使う分だけを持ち歩くようにします。
4. お金のかからない気分転換を見つける
ストレスや寂しさを解消するために「つい」使ってしまうのであれば、お金のかからない別の方法を見つけてみましょう。
- 近所を散歩する、公園で日向ぼっこをする。
- 図書館で本を借りて読む。
- 友人や家族に電話で話を聞いてもらう。
- 好きな音楽を聴く。
- 軽い体操やストレッチをする。
5. 「つい使うお金」の予算を決めておく
どうしても「つい」使ってしまいがちな項目があるなら、そのための予算を決めておくと管理しやすくなります。例えば、「今月はコンビニでの買い物は〇円まで」「趣味に関連するものは衝動買いせず、毎月〇円を上限にする」などです。この予算内で楽しむことで、罪悪感なく「つい」の気持ちを満たすことができます。
無理なく続けるためのコツ
新しい習慣を始めるのは難しいこともあります。完璧を目指すのではなく、まずはできることから少しずつ試してみてください。
- 小さく始める: いきなり全てを変えようとせず、「今週はコンビニに立ち寄る回数を1回減らそう」「毎日寝る前にレシートを確認しよう」といった小さな目標から始めます。
- できたことを褒める: 目標を達成できたら、自分自身を褒めてあげましょう。ポジティブな気持ちが、継続の力になります。
- 失敗しても気にしない: つい使ってしまっても落ち込む必要はありません。「次は気をつけよう」と気持ちを切り替えることが大切です。
まとめ:お金との向き合い方を見つめ直す時間
年金生活における「つい使うお金」は、日々の小さな満足感を与えてくれる一方で、家計の安心を揺るがす原因にもなり得ます。しかし、これはご自身の意思で変えていくことができる部分でもあります。
まずは、何に「つい」使っているのかを知ることから始めて、今回ご紹介したヒントの中から、ご自身に合いそうなものを試してみてください。そして、もし一人で考えるのが難しければ、ご家族や信頼できる人に話してみるのも良いでしょう。お金について話し合うことは、「キミのおこづかい会議」が目指すことの一つでもあります。
「つい使うお金」と賢く向き合うことは、年金生活をより安心で、そして心満たされるものにするための大切なステップです。ご自身のペースで、お金との新しい関係を築いていってください。