元気なうちに準備を 将来のお金の管理を家族と話すヒント
将来への安心のために 今考えておきたいお金のこと
年金生活を送る中で、日々の暮らしや将来について様々なことをお考えのことと思います。特に、ご自身の健康や、もしもの時の「お金の管理」について、漠然とした不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
歳を重ねるにつれて、体のことだけでなく、物事の判断能力が少しずつ変化することも考えられます。そうなった時に、ご自身のお金をどのように管理していくか、誰に任せるかといったことは、元気なうちに考えておき、大切なご家族と話し合っておくことが、将来の安心につながります。
なぜ元気なうちに話し合い、準備しておく必要があるのか
判断能力が十分でなくなってからでは、銀行での手続きや契約などが難しくなることがあります。また、ご自身の財産が悪用されたり、詐欺の被害に遭ったりするリスクも高まります。
ご家族にとっても、もしもの時にご本人の意思が分からず、どのように対応すれば良いか迷ってしまう可能性があります。ご自身が元気なうちに希望や考えを伝えておくことで、ご家族の負担を減らし、ご自身の意向に沿った形で財産を管理してもらうことができるのです。
どんなことを家族と話せば良いのでしょうか
最初から全てを話す必要はありません。まずは、以下のようないくつかの点について、少しずつ話し合ってみてはいかがでしょうか。
- ご自身の財産について: どの銀行に口座があるか、通帳や印鑑はどこに保管しているか、保険や不動産はあるかなど、全体像を伝えておきます。大まかで構いません。
- 毎月の収入と支出: 年金はいくらで、何にいくらくらい使っているか。把握している範囲で共有します。
- お金の使い道に関する希望: これからも続けたい趣味や、将来かかりそうな医療費、介護費用について、ご自身の考えを伝えます。
- 信頼できる人について: もし自分でお金の管理ができなくなった場合、誰に管理をお願いしたいか、希望する人がいればその方にそれとなく話しておくのも良いでしょう。
このような話し合いは、一度きりでなく、日頃から少しずつ行うことが大切です。
将来に備えて具体的な準備
話し合いと並行して、具体的な準備も進めていくことができます。
- 財産リストの作成: 通帳のコピーや、保険証書の控え、不動産の権利書などの保管場所を記したリストを作っておくと、ご家族が必要な時にすぐに確認できます。
- エンディングノートの活用: 財産に関することだけでなく、医療や介護の希望、連絡を取りたい人など、様々なことを自由に書き残すことができます。法的な効力はありませんが、ご自身の意思を伝える大切な手段となります。
- 専門家への相談: より専門的な方法として、任意後見制度や家族信託といった制度があります。これらは、ご自身が元気なうちに、将来お金の管理をお願いする人(後見人など)や管理方法を決めておくものです。これらの制度について知りたい場合は、弁護士や司法書士、行政書士といった専門家に相談することもできます。地域の相談窓口や自治体でも情報提供を行っている場合があります。
まとめ:小さな一歩が大きな安心に
将来のお金に関する備えは、難しく考えすぎると億劫になってしまうかもしれません。しかし、大切なご家族と少しずつでも話し合い、ご自身の考えや財産の状況を共有しておくことは、将来の不安を減らし、ご自身の希望に沿った暮らしを続けるための大切な一歩となります。
元気な今だからこそできる準備を進め、ご自身もご家族も安心して過ごせる未来を築いていきましょう。