キミのおこづかい会議

退職金・貯金 どう使う?どう守る? 年金生活のお金との向き合い方

Tags: 年金生活, 退職金, 貯金, 資産管理, 老後資金

はじめに

定年退職を迎え、年金生活が始まりますと、これまでに蓄えてこられた退職金や貯金と、改めて向き合う機会が増えることと存じます。まとまったお金があることは心強い一方で、「これからどう使っていけば良いのか」「減らさずに守り、長く暮らしていくにはどうしたら良いのか」といった漠然とした不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、年金収入が中心となる生活において、大切な退職金や貯金をどのように考え、どのように管理していくかについて、安心してお金と付き合っていくためのヒントをお伝えいたします。難しい専門知識は必要ありません。ご自身の状況に合わせて、無理なくできることから始めていただければ幸いです。

なぜ退職金・貯金の管理が大切なのでしょうか

年金収入は、毎月の生活費を支える大切な基盤です。しかし、年金だけで全ての支出を賄うことが難しい場合や、病気、介護、住宅の修繕といった急な大きな出費が必要になることも考えられます。

このような時、退職金やこれまでの貯金は、生活のゆとりや安心を支えるための、いわば「頼りになる存在」となります。この大切な資産を計画的に管理することは、単にお金を「守る」だけでなく、これからの人生を心穏やかに、そして豊かに過ごすために非常に重要です。

まずは「いま」のお金を見つめ直しましょう

退職金や貯金の管理を始めるにあたり、まずはご自身のお金の状況を把握することから始めましょう。

  1. 収入の確認:
    • 毎月の年金額(公的年金、企業年金など)
    • その他の定期的な収入(家賃収入など)
  2. 支出の把握:
    • 毎月の生活費(食費、光熱費、通信費など)
    • 住居費(持ち家なら固定資産税、修繕費積立。賃貸なら家賃)
    • 医療費、介護費用
    • 生命保険料、損害保険料
    • 税金(所得税、住民税など)
    • その他(趣味、交際費、旅行費など) 可能であれば、家計簿などをつけて、何にどのくらいお金を使っているかを具体的に見てみましょう。
  3. 貯金・退職金の総額確認:
    • 銀行預金(普通預金、定期預金)
    • 証券口座にある資産(株式、投資信託など)
    • 保険の積立部分
    • 退職金として受け取った金額(まだ使っていない分) ご自身が持っている資産全体を一覧にしてみると、漠然とした不安が整理されることがあります。

安心のための「お金の分け方」を考えましょう

ご自身の収入と支出、そして貯金・退職金の総額が把握できたら、次はこのまとまったお金を「どのように分けておくか」を考えます。これは、いざという時に慌てず、計画的に使うための大切なステップです。

いくつかの目的に応じてお金を分けることで、それぞれの役割がはっきりし、安心につながります。

このように目的別に分けることで、「このお金は何のためにあるのか」が明確になり、安心して使ったり、将来のために取っておいたりすることができます。

分けたお金の「置き場所」を考える

目的別に分けたお金を、どこに置いておくか(預けておくか)も重要です。大切なのは「安全性」と「すぐに使えるか(流動性)」のバランスです。

大切な資産を減らしたくない、安全性を最優先したいという場合は、まずは預貯金や個人向け国債といった、元本割れのリスクが低い、あるいは無いとされる方法を中心に考えるのが良いでしょう。株式や投資信託といった「運用」は、値動きがあり元本を割り込む可能性もありますので、その特性を理解し、ご自身の考えやリスク許容度に合わせて慎重に検討することが大切です。無理にリスクを取る必要はありません。

定期的な見直しの大切さ

一度お金の分け方や置き場所を決めたら、それで終わりではありません。ご自身の体調や、社会情勢、金利の状況などは常に変化します。年に一度など、定期的にご自身のお金の状況を見直し、必要に応じて分け方や置き場所を調整することが大切です。

こうした点を確認することで、いつまでも安心してお金と付き合っていくことができます。

まとめ

退職金やこれまでの貯金は、長年かけて築き上げてこられた大切な資産です。年金生活において、これらをどのように管理するかは、これからの生活の安心感や豊かさに直接つながります。

漠然とした不安を感じる必要はありません。まずはご自身のお金の状況を「見える化」し、そして「当面の生活費」「急な出費」「将来の備え」といった目的に応じてお金を分けて管理することを考えてみましょう。その上で、それぞれの目的に合った安全性の高い「置き場所」を選ぶことが大切です。

この記事が、皆様がご自身の退職金や貯金と安心してお付き合いしていくための一助となれば幸いです。一歩ずつ、ご自身のペースで、お金との良い関係を築いていきましょう。